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人を恋うる歌
   作詞 与謝野鉄幹
   作曲 不詳(奥 好義か?)

MP3(2.32MB)。6分47秒。声はボーカロイドのKaitoです。
よく知られている歌です。16番までありますが、1番だけしか知りませんでした。ここでは最後まで制作してみました。
明治・大正の若者のロマン的で野心的で、かつ高踏的な気風がよく出ている歌です。昭和期の若者にも大きな影響を与えています。昭和2桁生まれの私にとっても、無理なく理解できる歌になっています。
2番以降の音譜割は私の解釈です。

1.
妻をめとらば才たけて
みめ美(うる)わしく情(なさけ)ある
友をえらばば書を読みて
六分(りくぶ)の侠気(きょうき)四分の熱

3.
汲めや美酒(うまさけ)うたひめに
乙女の知らぬ意気地あり
簿記(ぼき)の筆とる若者に
まことの男君を見る

5.
人やわらわん業平が
小野の山ざと雪をわけ
夢かと泣きて歯がみせし
むかしを慕(しと)うむら心

7.
妻子忘れて家を捨て
義のため恥を忍ぶとや
遠くのがれて腕を摩(ま)す
ガリバルディや今いかに


2.
恋の命をたずぬれば
名を惜しむかな男ゆえ
友のなさけをたずぬれば
義のあるところ火をも踏む

4.
あゝわれコレッジの奇才なく
バイロンハイネの熱なきも
石を抱(いだ)きて野にうたう
芭蕉のさびをよろこばず

6.
見よ西北にバルカンの
それにも似たる国のさま
あやうからずや雲裂けて
天火ひとたび降らんと

8.
玉をかざれる大官は
みな北道(ほくどう)の訛音(なまり)あり
慷慨(こうがい)よく飲む三南(さんなん)の
健児は散じて影もなし


四度(しど)玄海の波を越え
韓(から)の都に来てみれば
秋の日かなし王城(おうじょう)や
昔に変る雲の色

11.
わが歌声の高ければ
酒に狂うと人のゆう
われに過ぎたるのぞみをば
君ならではた誰か知る

13.
おのずからなる天地(あめつち)を
恋うるなさけは洩(も)らすとも
人をののしり世をいかる
はげしき歌をひめよかし

15.
おなじ憂(うれ)いの世に住めば
千里のそらも一つ家
己(おの)が袂(たもと)とゆうなかれ
やがて二人の涙ぞや
10.
あゝわれ如何にふところの
剣は鳴りをひそむとも
咽(むせ)ぶ涙を手に受けて
かなしき歌の無からめや

12.
あやまらずやは真ごころを
君が詩いたくあらわなる
無念なるかな燃ゆる血の
価(あたい)少なき末(すえ)の世や

14.
口をひらけば嫉(ねた)みあり
筆を握れば譏(そし)りあり
友を諌(いさ)めに泣かせても
猶(なお)ゆくべきや絞首台

16.
はるばる寄せしますらおの
うれしき文(ふみ)を袖にして
きょう北漢(ほくかん)の山のうえ
駒立て見る日出(い)づる方